【終了】特集展示「戒壇院の夏安居」

令和5年6月2日(金)~7月18日(火)

 

 仏教では雨季の一定期間、僧侶たちが一箇所に集住し外出せずに集団で修行をするということが行われていました。これを夏安居(げあんご)といいます。日本では旧暦四月十六日から七月十五日までの九十日間とする説に則って安居が行われていましたが、平安時代に一度廃れてしまいます。そこで鎌倉時代の初めに戒律復興の気運が起こり、当時の中国の制を移して夏安居が再興されました。

 東大寺では大仏殿を中心とした僧侶集団とは別に、戒壇院においても独自に安居が営まれていました。戒壇院は鑑真和尚が聖武太上天皇や孝謙天皇に授戒した大仏殿前の土壇を、この地に遷して伽藍を造営したことを起源とする堂宇です。今回の特集では、その始まりの儀式「結夏(けつげ)」を中心に取り上げます。戒壇院の結夏では他寺院と異なり、鑑真和尚の肖像を掲げることが特色です。この肖像は鑑真和尚の忌日である五月六日(新暦では六月六日)にも掲げられました。鑑真和尚の忌日に合わせて、戒壇院の夏安居についてご紹介します。

 

〈主な展示品〉

・東大寺戒壇院年中行事 室町時代(15世紀)

・東大寺戒壇院指図 室町時代(15世紀)

・鑑真和尚像(天境霊致讃) 鎌倉時代(14世紀)

・南山大師像(中巌円月讃) 鎌倉時代(14世紀)

・華厳二種生死義 巻三 鎌倉時代(13世紀)

・梵網戒本疏日珠鈔 巻四十四 鎌倉時代・文保2年(1318)

・優婆離唄 鎌倉時代(13~14世紀)