東大寺ミュージアム
企画展・特別展

  • 東大寺の歴史と美術

     東大寺ミュージアムでは「東大寺の歴史と美術」をテーマとして、常設展示および特集展示などを行っています。

     常設展示ではミュージアムの本尊である千手観音菩薩像のほか、法華堂伝来の日光・月光菩薩像、奈良時代の誕生釈迦仏像や大仏開眼供養に用いられた伎楽面など、多くの寺宝をご覧いただけます。特別公開・特集展示については下記でご案内しています。

     

    2024年3月19日(火)~7月17日(水)の展示品目録はこちら

     

      

     

     

  • 特集展示「弘法大師と東大寺真言院」

    令和6年3月19日(火)~5月15日(水)

      

     今年、2024年は弘法大師空海の生誕1250年目にあたります。日本に密教の奥義を伝え真言宗を立教開宗したことで名高い空海は、唐への留学の直前に東大寺戒壇院で得度授戒したと伝えられ、また帰朝後は嵯峨天皇の勅命により東大寺内に灌頂道場(現在の真言院)を建立するなど、東大寺とも深い関わりがありました。東大寺では現在でも毎年4月21日(旧暦の3月21日)の空海の忌日に真言院において御影供を行っています(非公開)。今回はこの節目の年を記念して、東大寺と空海、また中世から近世にかけての真言院の歴史をご紹介します。

     

    〈主な展示品〉

    重文 御請来録           室町時代・長享3年(1489)〔東大寺聖教のうち)

    重文 弁顕密二教論 上巻      鎌倉時代・暦仁2年(1239)〔東大寺聖教のうち〕

       真言院再興略記        桃山~江戸時代(16~17世紀)

       真言血脈           江戸時代(17~18世紀)

       徳川家康朱印状案(真言院宛) 江戸時代(17世紀)

       真言院境内図         江戸時代・寛政9年(1797)

       弘法大師像          江戸時代(17~18世紀)

       弘法大師像(日輪大師)   室町時代・寛正2年(1461)頃

     

    〈関連展示〉

    重文 金剛頂経 巻上        鎌倉時代・正応4年(1291)〔東大寺聖教のうち〕

    重文 大日経 住心品        江戸時代・万治3年(1660)〔東大寺聖教のうち〕

    重文 伝法灌頂作法次第(金剛界・胎蔵界・三昧耶戒)

                     室町時代・天正2年(1574)〔東大寺聖教のうち〕

  • 【終了】特集展示「二月堂ー修二会を支える法会空間ー」

    令和6年2月10日(土)~3月18日(月)

      

     お水取りの名で親しまれている東大寺の修二会(しゅにえ)は奈良時代以来、毎年一度も途絶えることなく現在まで続いている稀有な法会です。十一面観音を本尊とし人々の犯した罪を懴悔して、五穀の豊穣や世の中の安穏などを祈るこの法要は、春を迎える前の旧暦2月(現在は3月)に厳修されます。この修二会の会場となるのが「二月堂」です。一般の仏堂とは異なり、二月堂はその名が示すとおり修二会を修するための堂宇として発展してきました。修二会が行われる空間は信仰の高まりに応じて、次第に増築され現在の姿になったと考えられています。まさに古代以来、法要とともに発展してきた建築であり、行法の原初形態や変遷の過程を伺うことのできる特異な建物と言えるでしょう。

     この二月堂は東大寺を襲った二度の兵火を耐え抜きましたが、江戸時代前期に失火により焼失してしまいます。幕府の援助により素早く再建された現在の二月堂は焼失前の姿が忠実に再現されており、修二会を継続し続けようとした人々の強い意思がうかがえます。今回は二月堂が現在部分的な修理が行われているのにちなみ、再建以後の二月堂について、修二会を支え続けてきた法要空間と修理の歴史の一部をご紹介します。

     

     なお、期間中、奈良国立博物館においても特別陳列「お水取り」展(2月10日[土]〕~3月17日[日])が開催されます。あわせてご観覧されますとより深く修二会をご理解いただけます。両館にご入場の方には特製散華をプレゼントいたします。(※奈良国立博物館会場は会期終了が一日早いのでご注意ください)

     

    〈主な展示品〉

    二月堂縁起絵巻 下巻    室町時代(16世紀)

    二月堂再建地割図(梁行)  江戸時代・寛文7年(1667)

    滑車(二月堂内陣戸帳用)  江戸時代・寛文9年(1669)か

    東大寺境内図        江戸時代(18世紀)

    東大寺年中行事記(元文三年)江戸時代・元文3年(1738)

    棟札(宿所、湯屋、仏餉屋) 江戸時代(18~19世紀)

  • 【終了】特集展示「仏教と龍」

    令和5年12月25日(月)~令和6年2月9日(金)

     

     令和6年(2024)は辰年です。時や方位を表す「十二支」には古代中国から鼠牛虎兎…と動物が当てられ、現在でもアジア世界を中心になじまれています。皆さんも自分の生まれ年の動物が何かご存知の方が多いでしょう。このうち、「辰」の龍は十二種のうちで唯一、現在でも実在が確認されていない動物です。しかし、蛇のような長い体に鹿のような角、鋭い牙と爪をもち雨や水を司る龍のイメージは古来多くの人々が共有してきました。

     インドで生まれた仏教にも龍は取り入れられ、仏法を守護する存在となりました。仏教が次第に中国に広まると、中国固有の神仙思想における龍と交じり合い、それが日本にもたらされます。怒らせると恐ろしい存在から、恵の雨を降らせるありがたいものまで、その性格は様々です。東大寺の宝物にも各時代の色々な龍が見られます。盧舎那大仏が開眼された天平勝宝4年(752)も辰年でした。それから1272年、107回目の辰年も飛翔の年となることを祈願し、東大寺に伝わる龍を紹介します。

     

    〈主な展示品〉

    重要文化財 十二神将像のうち辰神 平安時代(12世紀)

    重要文化財 舞楽面(陵王) 鎌倉時代・正元元年(1259)

          観音龍虎図 室町時代(15世紀)

          善女龍王図 江戸時代(19世紀)

          一筆画龍図 近代(20世紀)

  • 【終了】特別展示「良弁僧正と東大寺」東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌記念 

     東大寺は奈良時代に盧舎那大仏を本尊とする国家の中心的な寺院として誕生しました。その初代の「別当」(寺務の総裁)となったと伝わるのが良弁(ろうべん)僧正(689∼774)です。良弁僧正は聖武天皇が抱いた仏教で国を治めるという想いを支えて伽藍整備に尽力したため、聖武天皇や行基・菩提僊那とともに東大寺の「四聖」の一人に数えられています。

     本年は良弁僧正が宝亀4年(774)に85歳で亡くなられてから1250年目の御遠忌にあたります。東大寺ミュージアムでは特別展示を行い、良弁僧正の生涯が東大寺のなかでどのように伝えられ、学恩が顕彰されてきたのか、その歴史をご紹介いたします。この特集が良弁僧正の遺徳を偲ぶための縁(よすが)となりましたら幸いです。

       

     前期 令和5年10月1日(日)~11月16日(木)

     後期 令和5年11月17日(金)~12月21日(木)

      

       

       

    〈特別公開〉

     

     特別展示「良弁僧正と東大寺」のなかで特別に実忠和尚(じっちゅうかしょう)像をミュージアムにて公開いたします。実忠和尚は良弁僧正の弟子で、お水取りを始めたと伝えられています。このお像は普段、開山堂にいらっしゃいますが、このたび良弁僧正御遠忌にあわせ、特別にミュージアムにお移りいただきます。前期後期通してご拝観いただけますので、ぜひこの機会に足をお運びください。

    〈特別公開〉実忠和尚像   撮影:佐々木香輔

  • 【終了】特別公開 戒壇堂 四天王立像

    2020年7月23日(木)~2023年8月27日(日)


    戒壇堂の四天王立像を東大寺ミュージアムにて特別に公開しています。

    戒壇堂の耐震化工事のため、一時的にお移りいただきました。

    奈良時代彫刻の傑作として名高い四天王像を間近にご覧いただけます。

    ぜひこの機会にお参りください。

  • 【終了】夏休み特別企画 特集展示「東大寺文書(もんじょ)の世界 サインとハンコ」

    令和5年7月19日(水)~8月27日(日)

     

     みなさんは誰かに何かを伝えるとき、どのようにそのメッセージが自分のものだと証明するでしょうか。この展示では東大寺に伝わる古文書から、過去の人々がどのように「自分のしるし」を残したのかをご紹介します。

     東大寺には数多くの古文書(こもんじょ)が今に伝わっています。そのなかには歴史上の有名人が書いたものもあれば、そうでない人が書いたものもあります。今回は過去の人々がどのように手紙や書類に自分の証(あかし)を残したのか、サイン(署名または花押〔かおう〕)とハンコ(印章〔いんしょう〕)に注目してご紹介します。

     

    〈主な展示品〉

    ◉源頼朝書状(九月八日付) 鎌倉時代(12世紀)

    ◉足利尊氏椋橋庄寄進状 南北朝時代(14世紀)

     三好長慶禁制 室町時代・永禄2年(1559)

    ◉織田信長朱印状 安土桃山時代・元亀3年(1572)

    ◉豊臣秀吉朱印状 安土桃山時代・文禄4年(1595)

    ◉佐伯四郎丸田畠作手売券 鎌倉時代・建仁2年(1202)

    (◉は「国宝 東大寺文書」であることを表します)

  • 【終了】特集展示「戒壇院の夏安居」

    令和5年6月2日(金)~7月18日(火)

     

     仏教では雨季の一定期間、僧侶たちが一箇所に集住し外出せずに集団で修行をするということが行われていました。これを夏安居(げあんご)といいます。日本では旧暦四月十六日から七月十五日までの九十日間とする説に則って安居が行われていましたが、平安時代に一度廃れてしまいます。そこで鎌倉時代の初めに戒律復興の気運が起こり、当時の中国の制を移して夏安居が再興されました。

     東大寺では大仏殿を中心とした僧侶集団とは別に、戒壇院においても独自に安居が営まれていました。戒壇院は鑑真和尚が聖武太上天皇や孝謙天皇に授戒した大仏殿前の土壇を、この地に遷して伽藍を造営したことを起源とする堂宇です。今回の特集では、その始まりの儀式「結夏(けつげ)」を中心に取り上げます。戒壇院の結夏では他寺院と異なり、鑑真和尚の肖像を掲げることが特色です。この肖像は鑑真和尚の忌日である五月六日(新暦では六月六日)にも掲げられました。鑑真和尚の忌日に合わせて、戒壇院の夏安居についてご紹介します。

     

    〈主な展示品〉

    ・東大寺戒壇院年中行事 室町時代(15世紀)

    ・東大寺戒壇院指図 室町時代(15世紀)

    ・鑑真和尚像(天境霊致讃) 鎌倉時代(14世紀)

    ・南山大師像(中巌円月讃) 鎌倉時代(14世紀)

    ・華厳二種生死義 巻三 鎌倉時代(13世紀)

    ・梵網戒本疏日珠鈔 巻四十四 鎌倉時代・文保2年(1318)

    ・優婆離唄 鎌倉時代(13~14世紀)

  • 【終了】1400年御遠忌 特集展示「嘉祥大師-三論の祖師-」

    令和5年4月26日(水)~6月1日(木)

     

     三論宗(さんろんしゅう)は「南都六宗」の一つとして、奈良時代以来、多くの僧侶が修学してきました。しかし、現在宗派として現存していないために広く一般に知られているとは言えません。『中論』『十二問論』『百論』という三つの論書に基づくことから名づけられた三論宗は、鎌倉時代には「諸宗は三論の末(すえ)、三論は諸宗の本(もと)」とも言われ、東大寺で学ばれる宗派としては、江戸時代に至るまで華厳宗と並ぶ大きな柱の一つとなっていました。

     この三論宗を大成したのが中国・隋(ずい)の時代に活躍した嘉祥大師(かじょうだいし)吉蔵(きちぞう)(549-623)です。浙江省の嘉祥寺に住んで講義や著述活動を行ったので嘉祥大師と称された吉蔵は、名声の高さゆえに皇帝の煬帝(ようだい)に招かれて都の長安に上り、他の僧侶との論義などで活躍しました。またインド以来伝えられてきた三論の教えを組織立てたため、後世には三論宗の祖師として認識されています。

     東大寺では鎌倉時代に教学の復興活動が盛んとなり、その中で嘉祥大師とその著作が改めて注目されるようになりました。また、毎年5月15日の忌日には三論宗の論議を行う嘉祥講が行われるようになります。本年は武徳6年(623)に嘉祥大師が没してから1400年の節目にあたります。この遠忌の年を記念して、東大寺における嘉祥大師の顕彰の歴史をご紹介いたします。東大寺において重要な宗であった三論宗と、その祖師である嘉祥大師について、多くの方に知っていただけましたら幸いです。

     

    〈主な展示品〉

    ・嘉祥大師吉蔵像 室町時代(16世紀)

    ・三論祖師伝 鎌倉時代(13世紀)

    ・三論玄義 鎌倉時代・建長8年(1256)

    ・恵日古光鈔 鎌倉時代(13世紀)

    ・嘉祥大師講式 南北朝時代・嘉慶2年(1388)、江戸時代・慶長15年(1610)写