特集展示「正倉院裂」〔第1室〕

令和7年10月31日(金)~令和8年2月6日(金)

 

 創建期の東大寺の宝物を納める巨大な宝庫である正倉院の正倉は、朝廷の監督のもと長きにわたり東大寺によって管理されてきましたが、明治8年(1875)に政府に移管されました。翌年、政府は正倉院の宝物のうち、千年以上の時を経て残骸となってしまった染織品の「裂(きれ)」に注目します。これらは古代の織物技術や文様を知るうえで極めて高い学術的価値を持っていたためです。

 選ばれた約400点の裂は、研究および保存のため、それぞれガラスに挟まれ「見本帳」として国立博物館に頒布されました。これが「正倉院裂(しょうそういんぎれ)」です。この時、おそらく東大寺にも同様に裂が頒(わか)たれたため、現在十数点が東大寺にも保存されています。これらには当時の最先端の染織技法と、仏教美術が花開いた天平文化の躍動的な文様が凝縮されています。大仏開眼会の前後に東大寺を彩った、豪華絢爛な色彩やデザインを、この小さな布裂れから想像してみてください。

 

 ※会期途中で展示替えを行います。

 

〈展示品〉

天平裂   奈良時代(8世紀)

   黄緑地霰花文錦幡頭、緑地花葉文刺繍羅、赤地立木天蓋文臈纈平絹、浅緑地草花文臈纈平絹、襷文臈纈綾

            (以上、10月31日∼12月23日)

   青緑地六弁花鳥文錦、淡黄緑地草花文臈纈平絹、白茶地花文夾纈平絹、紫地菱繁文羅、淡赤地四菱入菱繁文羅

            (以上、12月24日∼2月6日)