令和8年3月17日(火)~4月23日(木)
古代インドで釈尊が仏教を開いた後、弟子たちによって編纂された経典は膨大な量になりました。さらに中国で仏典が漢文に翻訳されると、最も重要なお経は何かということで様々な解釈が生まれます。こうして教理の研鑽が積まれる中で、学派の別を「宗」と呼ぶようになっていきます。東大寺はこうした各宗を兼備する最先端の仏教研究センターとして存続してきたため、修学の所産である「聖教」が多く伝えられています。学問寺としての伝統を受け継ぐ総合文化センターの開館15周年を記念し、「八宗兼学」と言われる東大寺の各宗を一年かけて順番にご紹介します。
《第1部》〔2室・3室〕
平安時代になると遣唐使として中国に留学した空海によって、体系的な密教がもたらされます。密教を基盤に新たに開かれたのが真言宗です。これは手印を結び、真言を読誦し、観想する行によって、「即身成仏」を目指す宗派で、修法という儀式で人々の現世利益も願います。旧都である奈良の東大寺にも南都六宗との融和を図った空海が真言宗を伝えました。空海は嵯峨天皇の勅命によって東大寺の中に灌頂道場(真言院の前身)を建立します。この真言院は荒廃と復興を繰り返しながらも、南都における真言宗の拠点の一つとして歴史上、重要な位置を占めてきました。この特集展示の前半では真言院の歴史を紹介します。
国宝 真言院再興上表(東大寺文書のうち) 鎌倉時代・建治2年(1276)
真言院再興略記 鎌倉時代(13世紀)
厨子入金銅火炎宝珠形舎利容器(中道上人所持舎利納置)
江戸時代(17∼18世紀)
火炎宝珠嵌装舎利厨子 室町時代(16世紀)
重文 金剛頂瑜伽他化自在天理趣会普賢修行念誦儀軌(東大寺聖教のうち)
平安時代(11∼12世紀)
《第2部》〔4室〕
真言宗は「密教」とも呼ばれる通り、言葉だけでは表すことのできない秘密の教えです。仏の真理に到達するため、瞑想や実践的な修行を重視する点で他の宗派(顕教)と異なります。また、現世利益のため「修法」を行うことも大きな特徴です。空海以降、弟子たちによって研究が深められ、次第に儀式作法の異なる諸流に枝分かれしていきます。密教では師(阿闍梨)から直接教えを伝授されることが重んじられ、その伝法の証として多様な秘伝の書(聖教)が作成されました。この特集の後半では「密教聖教」の例として、数ある修法の中でも、造形化されることの多かった「愛染明王」の修法をご紹介します。
弘法大師像 江戸時代(17∼19世紀)
薄草紙 初重および二重 江戸時代(17∼18世紀)書写
木造愛染明王像(五指量愛染) 平安時代(11世紀)
木造愛染明王像 鎌倉時代(13世紀)
絹本著色愛染明王像 室町時代(15世紀)
薄草紙口決 五~二十 江戸時代(18世紀)書写
愛染王法事 鎌倉時代(13世紀)書写
愛染法最深秘訣 本末 江戸時代・享保7年(1722)書写
如法愛染秘口訣 本末 江戸時代・享保4年(1719)書写
愛染法 江戸時代(18世紀)書写
如法愛染王法 江戸時代・天明6年(1786)書写
