令和7年9月5日(金)~10月30日(木)
かつて人類は「文字」という時間や空間を超えた情報伝達の手段を獲得しました。そして「紙」の発明は文字の保管や持ち運びを格段に便利にし、「印刷」技術の登場は文字の「複製」を飛躍的に容易なものとします。経典の書写行為と親和性の高いこの技術は仏教と古くから結びつき、日本では奈良時代から経文が印刷され、中世には奈良の大寺社で独自の印刷文化が栄えました。江戸時代になると経典にとどまらず、実用書や娯楽のための印刷物が大衆に広まっていきます。こうした時代の流れの中で、寺社が培ってきた印刷の伝統は一体どうなっていったのでしょうか。ここでは普段あまり注目されることのない江戸時代の東大寺の印刷文化について紹介します。
〈展示品〉
仏説普遍光明清浄熾盛思惟宝印無能勝惣得大随求即得陀羅尼経 版木
室町時代・天文20年(1551)
仏説普遍光明清浄熾盛思惟宝印無能勝惣得大随求即得陀羅尼経
室町時代・天文20年(1551)
阿毘達磨倶舎論本頌 版木 江戸時代・慶安3年(1650)
阿毘達磨倶舎論本頌 江戸時代・慶安3年(1650)
阿毘達磨倶舎論本頌(写本) 江戸時代・文化9年(1783)
両界曼荼羅 版木 江戸時代(17∼18世紀)
蓮華形柄香炉箱 江戸時代(17∼18世紀)
大仏殿御縁起 版木 江戸時代・天明3年(1783)
大仏殿御縁起 江戸時代・天明3年(1783)
東大寺釘打阿弥陀 版木 江戸時代(19世紀)
木活(木製活字) 江戸時代(17世紀)