メッセージ
| ■ | 東日本大震災・義援金協力について |
| ■ | 表白 |
| ■ | 共同メッセージ |
共同メッセージ
1.はじめに
この度の東日本大震災は、想定をはるかに越えた大災害となり、多くの尊い命が失われ、また今もなお安否さえ分からない方々が大勢おられ、多くの方々が避難所などでの不自由な生活を余儀なくされているのが現状である。
東大寺と鶴岡八幡宮は、大震災に際して犠牲になられた多くの御霊(みたま)の安らかならんことと、被災地の皆様に心を寄せ一日も早い復興を祈るとともに、我が国が常に神仏の御加護の下に困難からの再起を果たしてきた歴史に思いを至し、相互にしかも合同の祭事・法要を鎌倉と奈良の地で執り行なうこととした。
2.東大寺と鶴岡八幡宮の歴史的交流の経緯について
(ア)東大寺と八幡神
東大寺の本尊:盧舎那大仏(るしゃなだいぶつ)造立を発願(ほつがん)された聖武天皇は、国家の安泰と国民の幸福、さらには動物も植物も共に栄えることを願われ、出来るだけ多くの人々の協力を得て事業を成し遂げることを重要視された。
また聖武天皇は、盧舎那大仏の塗金(ときん)に必要な黄金が陸奥国(現在の宮城県遠田郡涌谷町)より産出することを託宣し、大仏鋳造を神助した宇佐八幡神を平城京に招請され、さらには大仏造立に多大な霊威を顕現した八幡大神を、天平勝宝元年(749)12月、大仏殿の東側に東大寺八幡宮(手向山八幡宮は鎌倉再興期に現在地に移転)として祭祀された。
(イ)鶴岡八幡宮
鶴岡八幡宮は、源頼朝公が源氏再興の旗を上げ、その本拠を鎌倉に定めた際、祖先の源頼義公が密かに京都の石清水八幡宮を勧請した由比ヶ浜の八幡宮を、治承四年(1180)10月に現在の地に遷して創建され、建久二年(1191)11月、社殿・神域を整え、改めて石清水八幡宮の御神霊をお迎えして、鎌倉幕府の宗社に相応しい姿で御鎮座となった。
(ウ)東大寺と鶴岡八幡宮
治承四年(1180)12月、平重衡(たいらのしげひら)による南都焼き打ちの罹災により、東大寺の天平創建以来の諸堂伽藍が悉く灰燼に帰したが、時の朝廷に選ばれた造東大寺大勧進(ぞうとうだいじだいかんじん)重源上人(ちょうげんしょうにん)が鎌倉幕府に働きかけ、文字通り国を挙げての東大寺再興の大事業が開始された。
頼朝公は、この東大寺再興に強力な援助を惜しまず、建久六年(1195)3月の「大仏殿落慶供養会(らっけいくようえ)」には、数万の鎌倉武士を従えて東大寺に臨んでいる。
これ以降、東大寺と鎌倉・鶴岡八幡宮の関係は深まり、鶴岡八幡宮の別当を務めた僧が東大寺別当(第106世定豪(じょうごう))に就いた例もある。また、頼朝公の菩提を弔うために寿福寺を建立した栄西禅師が、重源上人の後継として東大寺大勧進となり、ついで栄西の高弟で鶴岡八幡宮の供僧として北条政子からも深く帰依された行勇(ぎょうゆう)が、第三代の東大寺大勧進となっている。
3.現代における東大寺と鶴岡八幡宮の相互交流について
平成11年4月29日、鶴岡八幡宮が「源頼朝公八百年祭」を執り行なった際に、東大寺僧侶による「修二会声明(しゅにえしょうみょう)」が八幡宮舞殿で厳修された。
また、平成18年10月15日には、「重源上人八百年御遠忌法要」の一環として、鶴岡八幡宮神職巫女による「御神楽(みかぐら)」が東大寺大仏殿前庭にて奉仕されるなど、近年に至って再び相互の往来と祈りを共にする機会が実現している。
東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方は、大仏造立に際して塗金に要する黄金を供給し、平安末期には平泉を中心に壮麗な仏教文化を花開かせた地でもある。
この豊かな奥州文化は、永福寺(ようふくじ)、勝長寿院(しょうちょうじゅいん)の創建など、源頼朝公による草創期の鎌倉の街作りや文化形成にも大きな影響を与えた。
奥州~鎌倉~南都は、地理的に遠く隔てられていると雖も、これらの歴史的な《縁》によって強く結ばれている。
4.東日本大震災に係わる祭礼並びに法要執行の意義
申すまでも無く、今次の大震災は未曾有の国難であり、その終息・復興には長い時間を要し、厳しい道のりが続くことと思われる。
私たちは、神仏に仕える者として、東大寺の天平創建当初或は鎌倉復興期に行なわれてきた国家鎮護・除災招福を祈る『大般若会』と、大御心をいただいて四海(しかい)の平穏を祈る神楽「浦安の舞」を取り入れた祭事・法要を一つの行事として厳修し、八幡大神と盧舎那大仏が人々と共におわしますことを感じていただけるよう、これより被災地の復興が成し遂げられるまで、共に手を携えて祈り続けて行くこととした。
大震災で亡くなられた方々の御霊(みたま)の安らかな鎮まり、行方不明の方々の早期発見、被災された方々の心に、国民ひとりひとりが自らの心を添わせて一体となり、被災地の一日も早い復興が果たされるよう、私達は共に祈念する次第である。
一人でも多くの方々がこの祈りに参加され、心を同じくして《善縁》で結ばれることを願っている。
| 平成23年5月20日 | |
| 東大寺別当 | 北河原 公敬 |
| 鶴岡八幡宮宮司 | 吉田 茂穂 |
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