○試みの湯(2月21日)

 この日は昼食後、午後一時より和上以下練行衆全員「社参」「試みの湯」に出発します。八幡殿、大仏殿、天皇殿、開山堂と巡拝し二月堂下の湯屋に至ります。また、道中「猫段」「大鐘」「法華堂下の石段」で法螺貝を吹きます。行列がどこにさしかかったのか耳を澄ませば判るようになっているのです。湯屋に着くと練行衆は脱衣場に蹲踞して堂司の「新春の御慶(ぎょけい)」。

「新春の御慶(ぎょけい)各々御満足たらふずるで候、兼ては又、本願聖王の古に替わらず、当堂の行法今に改まらず、練行の諸衆、満寺の諸徳二世の悉地を祈り、参詣の諸人、六十余州の甲乙帰依渇仰せうずるで候、随って小綱とむらい(とうらい)の事、例年の如く、御下行成さりょうずるで候哉」

これに練行衆がそれぞれ応えて、
「小綱(しょうこう)とむらい(とうらい)の事、例年の如く、御下行有ろうずるで候」
 平衆は順次「多分」と答えてゆき、末座の処世界は頷くのみ。

二七日の間冷えた体を暖め行(ぎょう)で体に染付いた煤と油をおとすことになる湯屋で、さりげなく「例年の如く」と、本行(ほんぎょう)への覚悟を決めさせられることになります。そして入浴。

試みの湯が終わると再び行列を組み、二月堂登廊(のぼりろう)下、宿所のあたりで法螺貝を吹き、登廊を上って舞台に至り聖武天皇陵を遥拝して解散。

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