仏 生 会(四月八日・大仏殿)

釈尊誕生の日とされる四月八日に、東大寺ではその降誕を祝って仏生会(ぶっしょうえ)をおこないます。仏生会は浴仏会・竜華会(りゅうげえ)ともいい、各地で行われますが寺によっては五月八日に行う所もあるようです。

東大寺の仏生会

 東大寺では一山の僧侶が、「鈍色(どんじき)」と呼んでいる装束で大仏殿の集会所(しゅうえしょ)に集まります。仏生会で導師の役をつとめる者は、ここで「法服」と呼んでいる法衣にきがえ、午前8時になると、他の式衆とともに大仏殿での法要にむけて集会所を後にします。

 履物を竹の皮の草履に履き替え、式衆は下座のものから列を組んで進み、大仏殿正面に設けられた花御堂(はなみどう)の前に至ると誕生仏に甘茶をそそぎます。その後大仏殿の壇上に登り、準備が整うと惣礼(そうらい)の金が打ち鳴らされ、仏生会(ぶっしょうえ)の法要が始まります。

 法要は惣礼の後、唄(ばい)・散華(さんげ)が唱和され、散華二段で散華衆が壇上を行堂します。散華が終わると導師が表白を読誦しますが、その中には「降誕化益の恩徳を仰ぎ、香燈梵唄の供養を飾り、五部大乗の花緒を解いて、数輩同心の転読を致す。」という言葉があり、釈尊一代の教えを五部大乗経で代表させて、その恩徳をしのぶという趣旨であると考えられます。

法要が終わると式衆は壇を下り、花御堂のそばで甘茶をいただいて解散します。 表白には「此間ニ伎楽・経終テ金一丁」とあるので、かつてはお釈迦様の誕生を祝福して伎楽が演ぜられていたのでしょう。

仏生会のいわれ

 各地寺院で行われる潅仏会では、花御堂といって、いろいろな花で飾った小堂を境内に設け、これに銅製の誕生仏の像を潅仏盤と呼ぶ水盤上に安置し、その頭上から僧侶や参詣者が竹の柄杓(ひしゃく)で甘茶をそそぐのが一般的です。

 お釈迦様は摩耶夫人の右脇から生まれると七歩すすんで、右手を挙げて天を指し、左手を垂下して地を指し、「天上天下唯我独尊」と唱えられたといわれますが、誕生仏とか誕生釈迦仏とか呼ぶ仏像は、この姿をあらわしたものです。

 誕生仏に甘茶をそそぐことについては、生まれたばかりのお釈迦様の体に、9頭の龍が天から清浄の水を吐きそそいで産湯をつかわせたとか、竜王がお釈迦様の誕生を祝って甘露の雨を降らせたという伝説にちなんだものと思われますが、もともとは必ずしも甘茶ではありませんでした。

 一方、花御堂のいわれについては、摩耶夫人(まやぶにん)がお釈迦様を出産されたのは、釈尊の父王(シュッドーダナ王・浄飯王:じょうぼんのう)の居城、迦毘羅城(かぴらじょう、ネパールのタライ地方)の東方にあった藍毘尼園(らんびにおん・ルンビニー園、離宮)の無憂樹の下であったとの伝説があり、花御堂は、これになぞらえたものであると考えられます。また、竜王がお釈迦様の誕生を祝って甘露の雨と優曇華の花を空から降らせたという話にあてはめると、花御堂の花は竜王が降らせたという優曇華の花を模していると解釈することもできるようです。

 花御堂を飾る花は各寺によって異なるようですが、東大寺では花御堂の本体を緑の杉葉で覆い、馬酔木(あしび・あせび)の花と椿の花で荘厳しています。

この日は法要後(午前8時40分頃)から午後3時半頃まで、大仏殿正面に設置された花御堂の誕生釈迦仏にお参りして甘茶を潅ぐことができます。またその傍らで、甘茶をいただくこともできます。
 

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